京の夏の旅

 第24回を迎えた恒例の「京の夏の旅」。今年のテーマ「源氏物語・花と夢の世界」(9月30日まで)を定期観光バスで巡った。
 春秋の曲水の宴でも知られる城南宮では、源氏物語に登場する草花が多数植えられていて興味深い。つづいて平安、室町、桃山の各名園を鑑賞してまわる。ここは洛南の一角、鳥羽離宮跡にあるが、名神高速道路の京都南ICの近くだから車の渋滞地域で意外と行きにくい。定期バスが気楽だ。
 宇治の「源氏物語ミュージアム」は初めてだったが、篠田正浩の映画「浮舟」をはじめとして全体に予想以上の内容だった。宇治川を見ながら「花やしき浮舟園」で昼食後、東本願寺近くの渉成園へ。光源氏のモデル源融ゆかりの史跡庭園。周囲のビルが目障りだが、池畔や木立の中の小路に“平安”がそこはかとなく残る。こんな時でないと行けない。

     (嶽)   (1999年 大阪新聞より)

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