うれしい料理

 日本列島のどこをもって「まんなか」というか、さまざまの論議がある。先ごろ福井から永平寺・勝山・越前大野そして岐阜県側に入って白川郷・郡上八幡・岐阜と横断してみたが、まさしくまんなかを旅行くという実感があった。古寺あり、古い家並みあり、峠、里、川、駅、段々畑……。
 意外とおいしいものが、例えば永平寺町の「布膳」の精進料理や奥美濃・白鳥町「覇楼館」の郡上一揆まぼろし膳などあって、田舎のどまんなかで思わず拾いものした気分だった。
 一緒に行った食味評論家を自負するおばさまたちも「これが京都だったら、この値段じゃすまないわね」と太鼓判を押されるものだから、気分が良くなった。引き合いに出される京都こそいい迷惑であろうが、どうしてか京都でちょっとしたお膳ものを食べて「これはどこよりも安い」と思ったことおまへんな。

     (嶽)   (2001年 大阪新聞より)

もどる