観光地"拒絶本能"

 「観光地には行きたくない」という人が増えている。なぜか。既成の有名観光地のイメージは、密集過密、高い、だまされやすい、うさんくさいで、快適・適性で納得できる価格、住んでみたくなるほどの空間、土地の人との信頼感ある交流などといった価値観から、およそほど遠い存在になっていた。
 ひとことでいえば、おしゃれでなく、いかに利潤を挙げるかという構造になっている。一般的に観光地といわれる"体臭"に拒絶本能が働くのは当然である。お客の側も団体でどうせ1〜2泊、どこのなんという旅館に泊まったかもしらず、解放感とマナーの悪さを連動させて無茶をする。受け入れ側も要警戒態勢でいいものは置かず見せかけだけでやりすごす。すべてがそうだったわけではないが、旧態依然だと政界の無党派同様「観光地には行きたくない」人たちはますます増えるだろう。

     (嶽)   (1999年 大阪新聞より)

もどる