四天王寺散歩「お寺の入り口に大鳥居」
林 豊
お寺はどこでも南門が正門ですが、四天王寺は昔から西門の『石の大鳥居』が正門のように思われています。その大鳥居の中央には、「釈迦如来(にょらい) 転法輪処(てんほうりんしょ)
当極楽土(とうごくらくど) 東門中心(とうもんちゅうしん)」の文字が浮き彫りされた扁額(へんがく)が掲げられています。その意味は「この地は釈迦如来が現れて説教された場所で、極楽浄土の東門に当たる」ということだそうです。額の文字は小野道風の筆ともいわれています。また、額の形は“箕(みの)”の形をしていますが、これは「全ての願いを救い取る」という阿弥陀の本願を現しているのだといわれています。
それにしてもお寺に鳥居が立っているのはちょっと奇異な感じがしますが、鳥居はもともとインドの聖地結界を示す門で、神社に限ったものではないとか。この四天王寺の鳥居も、ここからは釈迦の聖地であるという指標なんですね、最初は木の鳥居だったようで、石造りに改められたのは鎌倉時代末期といわれます。
林豊氏プロフィール>>>
1939年大阪市生まれ。大阪府職員、編集会社代表を経て、現在フリーライターとして雑誌、PR誌などに執筆の他、歴史・文化講座や講演会の講師を務める。民族芸術学会会員、旅行ペンクラブ会員。著書に『古事記・日本書紀を歩く』『聖徳太子の寺を歩く』(JTBキャンブックス)、『徒然十二支考』(日経大阪PR)ほか。