「和」の情趣あふれる展覧会

2017年9月10日号

白鳥正夫

秋の気配が感じられる9月、関西の美術館では新たな企画展が開幕しました。その中で、「和」の情趣にあふれた4つの展覧会を一挙に取り上げます。まずほとんど知られていない日本画家の回顧展「没後40年 幻の画家 不染鉄」が11月5日まで奈良県立美術館で、木工芸における初の人間国宝となった「京の至宝 黒田辰秋展」が美術館「えき」KYOTOの開館20周年記念として10月9日まで開かれています。さらに特別陳列「土佐光起生誕400年 近世やまと絵の開花−和のエレガンス−」が10月1日まで大阪市立美術館で開催されます。いずれも日ごろ見ることができない名品が展示されています。残暑をいやすには格好の展覧会です。最寄りの美術館から随時足を運ばれたらいかがでしょうか。


「没後40年 幻の画家 不染鉄」
懐かしさを湛えた独創的な180点


晩年の不染鉄

「不染鉄(ふせん てつ)を、ご存じですか」。こんな文面のチラシを、8月上京した際に目に留めました。先行開催された東京ステーションギャラリーで鑑賞して驚きました。画業どころか、その名も知らなかった、まさに幻の画家の作品は、素朴でぬくもりがあり、懐かしさを湛えた独創的な日本画でした。過去に開かれた展覧会は、奈良県立美術館での没後20年の1回だけです。本展はそれから数えて21年ぶりです。後半生は奈良に在住していて、関西ではなじみの風景も数多く描いています。

不染鉄(本名・不染哲治、1891〜1976)は、東京・小石川にある光円寺の住職の子として生まれました。20代初め、日本芸術院研究会会員になるも、写生旅行に行った伊豆大島・式根島で、なぜか漁師同然の生活を送ります。

ところが一転、27歳で京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)に入学。在学中から帝展に入選を重ねるなど華々しい活躍します。将来を嘱望されましたが、卒業後は奈良で図画教師を一時勤め、戦後は中央画壇を離れ、晩年まで飄々と作画を続け、84歳で亡くなっています。  

今回の展覧会では、鳥瞰図と細密画の要素を合わせ持った独特の視点で描いた代表作《山海図絵(伊豆の追憶)》をはじめ、新発見された《海村》や絵はがき、焼物などを含む約180点が出品されています。謎に包まれ、知られざる画家の足跡をたどるとともに、知られざる不染鉄作品の不思議な魅力を探っています。  


《山海図絵(伊豆の追憶)》
(1925年、
滋賀・木下美術館蔵)


代表作の《山海図絵(伊豆の追憶)》(1925年、滋賀・木下美術館蔵)は出色です。大観や北斎がよく描いた富士山とは様変わりです。画面の下から太平洋と海辺の町、中央に富士山の裾野の町、上部に白く輝く富士山、その奥には、なんと雪が降り積もる日本海側の町といった現実にはあり得ない構図なのです。しかし不思議なのは、これだけ俯瞰で捉えながら、列車が走り、漁船には漁師が乗り、海には魚が泳ぎ、人々の営みまで表現されています。マクロとミクロ的視点が混淆する絵画としては、国立国際美術館で開催中のピーテル・ブリュ―ゲルの《バベルの塔》を連想しました。  


《海村》
(1923年、個人蔵)


《海村》(1923年、個人蔵)は、長年所在不明となっていましたが、このほど広島県尾道市内の民家で見つかったそうです。伊豆半島での生活の様子を細やかに描いた作品です。縦195、横192センチの二曲屏風に仕立てられています。大正12年、関東大震災のため中止された帝展の代わりに大阪で開催された日本美術展覧会で、首席入賞を果たしています。  

もう1点、新発見の《思出之記(田園、水郷、海邊》(1927年、個人蔵)は、郷愁に満ちた三部作で、これは帝展出品作です。不染の生涯を通したモチーフの一つが「家」で、家族や故郷、人間の営みや生命などに独自の心象風景を重ねた作品はセピア色調で描かれ、見る者の心に深く染み入ります。  


《思出之記(田園、水郷、海邊》部分
(1927年、個人蔵)




《薬師寺東塔之図》
(1965年頃、
源覚寺蔵)


不染は戦後、かつて図画の教員を務めていた奈良の正強中学校の理事長に請われ、のちに、正強高等学校(現・奈良大学付属高等学校)校長に就任し、奈良に住み続けました。奈良の地に親しみ、薬師寺東塔をはじめ、大仏殿などの寺社、奈良の風景を数多く遺しています。とりわけアーネスト・フェノロサが、「凍れる音楽」と評した《薬師寺東塔之図》(1965年頃、東京・源覚寺蔵)は荘厳な塔を中央に曼荼羅のように描かれています。

不染は「芸術はすべて心である。芸術修行とは心をみがく事である」とし、潔白な心の持ち主にこそ、美しい絵が描けると信じて、ひたすら己の求める絵に向きあい続けた、といいます。言葉が添えられた作品もあり、その人柄や感性が伝わってきます。無名ながら画力と独創性を備えた不染展に納得です。

「京の至宝 黒田辰秋展」  
独創的で、造形力に富んだ傑作約90点
 


工房の黒田辰秋
(個人蔵)


黒田辰秋は、不染鉄と異なり、その名も知り、作品も見ています。さらに黒田の弟子であった大阪府の無形文化財の藤嵜一正さんとは親しく、今回の展覧会の監修者である青木正弘・元豊田市美術館」副館長も旧知です。青木さんは学生生活を京都で過ごし、黒田の工房でアルバイトと称して、螺鈿の仕事を手伝っていたそうです。開幕日にギャラリートークがあり、駆けつけたのでした。  

黒田辰秋(1904-1982)は、京都・祇園で漆匠、黒田亀吉を父に生まれ、木工や漆工の技術を体得します。20歳頃、陶芸家の河井寛次郎の講演に感銘を受け、河井や柳宗悦らの民藝運動に加わり、1929年に上賀茂民藝協団を組織。34年に小説家の志賀直哉らの推奨で初個展を開催します。刳物(くりもの)や指物(さしもの)の木工とともに乾漆や螺鈿といった漆芸を駆使し幅広く活躍し、独自の作風を確立しました。日本民藝協会や国画会、日本工芸会に所属。68年には宮内庁からの依頼を受け、皇居新宮殿に拭漆樟大飾棚や扉飾、椅子、卓を制作しています。  


《拭漆楢彫花文椅子》
(1964年、
豊田市美術館蔵)




《赤漆流稜文飾手筐》
(1955−60年、
鍵善良房蔵)



《螺鈿八角菓子重箱》
(1933年、
鍵善良房蔵)

今回の展覧会では、漆や螺鈿で仕上げた茶器などの小品から、椅子や飾棚などの大作まで、黒田が手がけた幅広い木漆の仕事を回顧し、きわめて独創的で、造形力に富んだ傑作約90点を展示しています。2014年に「生誕110年 黒田辰秋の世界 〜目利きと匠の邂逅」展が開催されるなど国内はもとより、ドイツでも個展が開催されていますが、京都においては初めての回顧展です。

京都では、黒田の木工作品が現在も、京都大学北門前のカフェ「進々堂」店内のテーブルセットのほか、祇園の菓子舗「鍵善良房」店内の重厚感のある大飾棚や、河井試沽Y記念館の表看板の彫りなど各所に息づいています。また白洲正子や志賀直哉、小林秀雄、武者小路実篤、川端康成、黒澤明ら著名人らにも愛されました。

《拭漆楢彫花文椅子》(1964年、豊田市美術館蔵)は、黒澤から御殿場の別荘の家具の制作を一切任された家具セットの一つで、重厚な楢材で作られています。背の文様は「彫花文」と呼ばれ、黒田独自の造形性を際立たせています。

《赤漆流稜文飾手筐》(1955−60年、鍵善良房蔵)は、檜の板を組み継いで作った長方形の箱の表面に螺旋を描き、削り出す手法で、まるで平面と曲面を合わせた独自性に富んだ発想力の作品です。

このほか漆器の表面を貝で装飾した螺鈿の《螺鈿八角菓子重箱》(1933年、鍵善良房蔵)や、《乾漆耀貝螺鈿飾筐》(1972年、個人蔵)など見とれてしまうほど細かく美しい多様な作品が並んでいます。一方で《拭漆松衝立》(1934年、個人蔵)や、《拭漆欟木飾棚》(1961年、豊田市美術館)など木目を活かした大作の名品も紹介されています。

青木さんは、「辰秋は彫刻家の魂を持った工芸家」と評し、「技巧が優先する昨今の工芸にあって、それを超える造形の力を秘めた作品は、失いつつあるものの存在感と、それを実感する感覚を覚醒させてくれるでしょう」と強調しています。

「土佐光起生誕400年 近世やまと絵の開花−和のエレガンス−」  やまと絵に清新な風、土佐派の名品約50点


《工斎宮女御像》部分
(江戸時代、個人蔵)


時代をずっと遡り、江戸時代前期に登場した土佐光起は、やまと絵の典雅さに水墨表現や中国絵画の写実表現を取り入れた独自の画風を確立しました。やまと絵は、平安時代から四季の自然や、そこに生きる人や生き物を優美に描いた日本の伝統的な絵画様式です。光起は、やまと絵の展開を一気に拡大し、幕末まで続く土佐派の流派体制を整備しました。  

土佐光起(みつおき)(1617−91)は、和泉国堺出身。1634年、宮廷絵所預だった土佐派の再興をめざす父の光則に従い、18歳で京都に移ります。光起が、38歳で左近衛将監に任じられ、一門の悲願だった絵所預に復帰したのです。土佐派は室町時代にやまと絵の制作を主導する大流派でしたが、当主の土佐光元の戦没や、狩野派の躍進によって桃山時代には劣勢となっていました。門人の土佐光吉と、その子の光則は泉州堺に拠点を移して命脈を保ち、光起によって1569年以来失われた絵所預職に85年ぶりに復帰したのです。  


重要文化財《大寺縁起(上巻)》部分
(江戸時代、大阪・開口神社蔵)


光起は伝統的なやまと絵の画法を継承しつつ、ライバルだった狩野派や中国絵画からも積極的に学び、やまと絵に清新な風を吹き込みました。また、花鳥図や唐人物図も描くなど画題の拡大にも務めました。今回の展覧会では、光起と息子の光成を中心とした土佐派の作品約50点を展示しています。  

主な展示品(いずれも光起画、江戸時代)を、美術館の資料をもとに紹介します。まずチラシの表紙を飾っているのが、《斎宮女御像》(個人蔵)。平安時代中期の皇族、歌人で、三十六歌仙の一人である斎宮女御(929〜85)を描いています。歌仙像はやまと絵の代表的な画題ですが、美麗な几帳とともに憂愁を含んだ気品あふれる姿を描き出しています。背景は伊勢神宮で、娘とともに伊勢へ下る斎宮女御が感慨を詠んだものです。


《春秋花鳥図屏風》左隻
(江戸時代、公益財団法人穎川美術館蔵)


《大寺縁起(上巻)》(大阪・開口[あぐち]神社蔵)は重要文化財です。開口神社と、江戸時代まで神宮寺であった念仏寺の両社寺創建の由来や高僧らとの関係を描いた縁起絵巻です。祭礼や舞楽など華やかな王朝風俗も細部まで丹念に描かれています。近衛基煕ほか一流の公家25人の寄合書による詞書も添えられています。  


《源氏物語絵巻「帚木」》部分
(江戸時代、
大阪青山歴史文学博物館蔵)


《春秋花鳥図屏風》6曲一双(公益財団法人頴川美術館蔵)は、光起の代表作の逸品です。満開の桜に柳が芽吹く春の景色と、松に紅葉した楓の大樹を重ねた秋の景色が、金地にあでやかな色彩で描かれています。

《源氏物語絵巻「帚木」》(大阪青山歴史文学博物館蔵)は「帚木」(ははきぎ)ほか10段からなり、桃山から江戸初期の土佐派が得意とした源氏絵の様式を受け継ぐ細密描写が見どころです。ほかにも《水辺鶉図》(個人蔵)などの名品が揃っています。このところ若冲や等伯、狩野派や浮世絵など江戸絵画が注目される中で、土佐派の絵画を鑑賞する絶好の機会です。



しらとり まさお
文化ジャーナリスト、民族藝術学会会員、関西ジャーナリズム研究会会員、朝日新聞社元企画委員
1944年、新居浜市生まれ。中央大学法学部卒業後、1970年に朝日新聞社入社。広島・和歌山両支局で記者、大阪本社整理部員。鳥取・金沢両支局長から本社企画部次長に転じ、1996年から2004年まで企画委員を努める。この間、戦後50年企画、朝日新聞創刊120周年記念プロジェクト「シルクロード 三蔵法師の道」などに携わる。

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第三章 生きているかぎり生きぬきたい

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「太陽はのぼるか」

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発行:三五館
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第二章 多種多彩、百花繚乱の展覧会
第三章 アーティストの精神と挑戦
第四章 アーティストの精神と挑戦
第五章 味わい深い日本の作家
第六章 展覧会、新たな潮流
第七章 「美」と世界遺産を巡る旅
第八章 美術館の役割とアートの展開

新聞社の企画事業に長年かかわり、その後も文化ジャ−ナリスとして追跡する筆者が、美術館や展覧会の現況や課題、作家の精神や鑑賞のあり方、さらに世界の美術紀行まで幅広く報告する
展覧会が10倍楽しくなる!
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発売日:2013年4月10日
定価:2,415円(税込)
発行:梧桐書院
・国家破綻危機のギリシャから
・「絆」によって蘇ったベトナム絹絵 ・平山郁夫が提唱した文化財赤十字構想
・中山恭子提言「文化のプラットホーム」
・岩城宏之が創った「おらが街のオケ」
・立松和平の遺志,知床に根づく共生の心
・別子銅山の産業遺産活かしまちづくり

「文化とは生き方や生き様そのものだ」と 説く著者が、平山郁夫、中山恭子氏らの文 化活動から、金沢の一市民によるベトナム 絹絵修復プロジェクトまで、有名無名を問 わず文化の担い手たちの現場に肉薄、その ドラマを活写。文化の現場レポートから、 3.11以降の「文化」の意味合いを考える。
ベトナム絹絵を蘇らせた日本人
「文化」を紡ぎ、伝える物語

発売日:2012年5月5日
定価:1,680円(税込)
発行:三五館
序 章 国境を超えて心の「家族」がいる
第一章 各界識者と「共生」を語る
第二章 変容する共産・社会主義
     世界の「共生」
第三章 ミニコミ誌『トンボの眼』から
    広がる「共生」の輪

私たちは誰しも一人では生きていけな
いことをわかっていながら、家族や地域、国家 や国際社会のことに目を向けなくなっている。「人のきずなの大切さと、未来への視点」自らの体験を通じた提言としてまとめた。これからの生き方を考える何がしかのヒントになればと願う。
無常のわかる年代の、あなたへ
発売日:2008年3月17日
定価:1,680円(税込)
発行:三五館
アートの舞台裏へ
発売日:2007年11月1日
定価:1,800円(税込)
発行:梧桐書院
内容:アートの世界を長年、内と外から見てきた体験を織り交ぜ、その時折の話題を追った現場からの報告。これから長い老後を迎える団塊の世代への参考書に、若い世代にも鑑賞のあり方についての入門書になればと思う。
アートへの招待状
発売日:2005年12月20日
定価:1,800円(税込)
発行:梧桐書院
内容:本書を通じて白鳥さんが強調するのは「美術を主体的に受け止める」という、鑑賞者の役割の重要性である。なぜなら「どんな対象に興味を感じ、豊かな時を過ごすかは、見る者自身の心の問題だ」からである。
(木村重信さんの序文より)
「大人の旅」心得帖
発売日:2004年12月1日
定価:本体1,300円+税
発行:三五館
内容:「智が満ち、歓びの原動力となるそんな旅を考えませんか。」
高齢化社会のいま、生涯をかけてそれぞれの「旅」を探してほしい。世界各地の体験談に、中西進先生が序文を寄せている。
「文化」は生きる「力」だ!
発売日:2003年11月19日
定価:本体1400円+税
発行:三五館
内容:50歳を前にして企画マンを命じられた新聞人が、10年間で体感し発見した、本当の「文化」のかたちを探る。平山郁夫画伯らの文化財保存活動など幅広い「文化」のテーマを綴る。
夢をつむぐ人々
発売日:2002年7月5日
定価:本体1,500円+税
発行:東方出版
内容:新藤兼人、中野美代子、平山郁夫など、筆者が仕事を通じて出会った「よき人」たちの生き方、エピソードから、ともにつむいだ夢を振り返るエッセイ集。
夢追いびとのための不安と決断
発売日:2006年4月24日
定価:1,400円+税
発行:三五館
内容:「本書には、日本列島の各地でくり広げられている地道な地域再興の物語が、実地踏査にもとづいて報告されている」と山折哲雄先生が序文を寄せている。
   

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