バンドネオンの源流と音楽の役割
バンドネオンについて その4-1
音楽の役割とバンドネオンの誕生まで

大橋 剛


 古き世から音楽の役割は冠婚葬祭にあったと思います。中世ドイツ(ヨーロッパ)の吟遊詩人や恋愛歌人達は人々に愛を伝える音楽を作りました。労働の苦しみを和らげたり、収穫の喜びを増幅させる民俗、舞踊音楽も人々の生活の中で重要な役割をもっていました。日本では笙(ショウ)や篳篥(ヒチリキ)等を用いた神に捧げる儀式音楽、農民などの労働歌や民謡、江戸時代に花開いた長唄・小唄・端唄・都々逸などの恋の機微を唄った音楽が庶民の間に広まるという工合に、洋の東西を問わず人々の生活と深く関わってきました。このことは皆様もご存知の通りです。
 紀元前3000年頃、中国で発明されたリード楽器(Tscheng)―チャルメラの原型のようなものか?―が日本では笙(ショウ)や篳篥(ヒチリキ)に、ヨーロッパではバグパイプ、オーボエ等のリード楽器に。そして、このヨシやアシでできたリードが金属になったのがバンドネオンの源、ハーモニカです。

 

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