バンドネオンの源流と音楽の役割
バンドネオンについて　その1

大橋 剛

　あの特徴的な澄み切ったバンドネオンの音色は、スウェーデン鋼でできたリードにあります。蛇腹を引っ張った時と押し込んだ時、１つのボタンで異なった音を出す⇒ディアトニック式、同様にした時に同音が出る⇒クロマチック式、クセロー式等のバンドネオンがあります。後者は、ディアトニック式の複雑なボタン配列を半音階順に並べた改良型で、少数派です。
　作られた年代、メーカー（有名なのはアルフレート・アーノルト社＝現存しません）によって大きさ・ボタン配列、リードの数が異なります。ハーモニカの1枚リードに対してオクターブ（8度）高いリードを組（2枚）にしたバンドネオンは鋭い音が出るので、アルゼンチンのタンゴ音楽家に好まれたようで、アルゼンチンに渡った楽器はこのボタン配列に統一、改造されているようです。ドイツでは3枚リード（少しまろやかな音）が主流で、ボタン配列も少し異なります。