バンドネオンと2人旅

大橋 剛


 ドイツで生まれた楽器、バンドネオン。それが、アルゼンチンタンゴの主役楽器になったのですが、広く知られるようになったのは、前衛タンゴの鬼才アストルピアソラが亡くなった後、世界的なチェロ奏者のヨーヨー・マガピアソラの音楽がクラシックの現代音楽として取り上げられてからのことです。
 そのビアソラが亡くなった同じ年の一月後、私のバンドネオンの師、オットー・ヴィットもこの世を去りました。その師の追悼コンサートのため結成したのがオーハシ・グランド・オーケストラというわけですが、コンチネンタルタンゴの王様といわれるアルフレッド・ハウゼ楽団のハウゼ氏より、私どもの演奏に対して、「私たちの伝統的な音楽を、私の音楽的息子のように大切に受け継いでください」という名誉な言葉をいただきました。
 昭和29年に生まれ、サラリーマンの家庭に育った、わんぱくで空想家の私が、24歳からバンドネオンと音楽のイロハから修業し、音楽家になったお話をこれからさせていただきます。

 

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